わたしが宇宙に行った話③
ーーーー・・命の生と死がそこにはあった。
膨張し続ける意識はこの地点に到達し、記憶の片鱗位触れる。
脳の海馬が宇宙そのものと繋がっていることを知った。
降り注ぐ太陽の光は徐々に視界から消えていき、そしてまた暗闇が訪れた。
先程までの恍惚的な感情はその瞬間に遮断され
多幸感からネガティブな感情に切り替わる。
丸い形をしたピンポン球のような小さな光が目の前に現れ此方を見て笑っていた。
味わったことのない怒りと嫌悪感が湧いた。
私はその光に向かって言葉ではない何かを叫んでいた。
なかなか消えることのない光はやがて嫌悪から恐怖に変わる。
悍ましい光の玉は大きくなっていきついに私の意識を飲み込んだ。
やがてその意識は更に深い所まで遡って行く。
・・どれだけの時間が過ぎたのだろうか。
気がつくと私はピラミッドの下では燃えさかる炎を囲み手を重ねて祈っていた。
周りには白い布を纏ったシャーマン達が同じように炎を囲み、何か歌を歌っていた。
何故ここにいるのか、そして何の為に祈っているのか分からないが
それが大切な儀式であることに間違いなかった。
この時私は神や宇宙、惑星、生命の神秘、現代の私たちが未だ解き明かせない謎の全てを悟った。
そして我々が地球上に存在する意味を知った。
真っ赤に燃えていた炎はやがて小さくなりそして黒い灰となって消えた。
さっきまでいたシャーマンは気づけばいなくなり私だけがそこに取り残されていた。
空中に舞い上がっている黒い灰が、次第に大きな天使となって私に語り出した。
その内容はここでは伏せておきたい。
話し終えるとその天使は私の手を取り、鮮やかな虹色をした扉の前に案内してくれた。
この扉の向こうに何があるかは自分でも分かっていた。
私は天使に別れを告げその扉を開けた。
朦朧とした意識の中私は目を覚ました。
実際には寝ていないがまだどちらが現実か理解できない。
時計を見ると時刻は4時50分を指していた。
視界は非常に鮮明且つサイケデリックな色彩で、ありと凡ゆる物に命が宿っていた。
まだ起きていた友人におかえりと言われ私の宇宙旅行は幕を閉じた。
続く